私たちの事務所がある天神地区、中でも大名の不振がマスコミはじめ取り上げられるようになって久しくなりました。

歩いていると１年以上の未入居物件が数多く見られます。

ところが飲食業、特に奥大名といわれる地区では、長く経営しているお店が数多く残っているのも事実です。

ある飲食店経営者に最近の状況をヒアリングすると、「売上はいいですよ」との声が聞こえてきました。

１０年ほど前の大名は、若い人たちを中心に裏原（原宿）的要素で活気に満ちていました。アパートの一室まで雑貨などを取り扱う小さなお店が林立し、おもちゃ箱をひっくり返したような賑わい感がありました。

ファンドによる不動産の買いあさりにより、地主さんは次々と不動産を手放すことになります。新所有者と契約を継続できない魅力的なテナントは閉店・撤退していきました。

新築ビル計画の賃料は実情との乖離を見せ、景気低迷もあり、新たに大名に出ようとするテナントが激減していきました。街への魅力を感じなくなった若い方は大名から離れていったんでしょう。

ですが、よくよく考えると大名自体のインフラが悪くなったわけでも、利便性が落ちたわけでもありません。

むしろ、ビジネスマンやＯＬ、そしてここに生活の基盤を置く、きちんと収入のある方だけは残ったともいえるのです。

そんな方々が今の大名の消費を支えていて、関わる人々の現時点での努力・汗かきが、将来街の魅力を作って行くように思います。

不景気を殊更に取り上げるマスコミに踊らされている人たちがたくさんいます。そんな風潮に心が元気を失っています。

でも、街を歩いてみませんか？何かが生まれるような、新たな息吹を感じるはずですよ。