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残暑が続きますが、やってまいりました読書や食欲の秋。

30歳も過ぎ食べた物がまんま体に残ってしまう肉体には食欲はできる限り節制していきたいものです。昨年の暮れから何気なく始めた読書は年間100冊読破目標も秋になりラストスパートです。
そんな中オススメ本を紹介します。


「悩む力」~姜尚中~


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姜氏は、本書の中で、日本人の悩みに大きく影を落とす「時代の特質」を明らかにする。

最大の要因として挙げられるのが「グローバリゼーション」であると言います。
グローバリゼーションとは、自分の力ではどうしようも抵抗できない外側からの圧力です。
自分がどんなに頑張っても、会社や国の経済ががらりと変わってしまう。
それによって生活も人生も変化することを余儀なくされる。
今、みんながそれを痛感しているわけです。

グローバリゼーションとは、"変わらないと死が待っているぞ" という
私たちに対する脅迫と言ってもいい。
私たちは絶えず変わることを迫られている。だから誰もが悩まずにはいられなくなる。

現代社会を生きていると、宗教やスピリチュアルな世界に
関心が向いてしまうのは仕方がないことなのかもしれません。

かといって、誰もがその世界に飛び込めるわけではない。
そこで、この本では "悩む" ということを積極的に評価しようじゃないかと、前向きな姿勢で提唱されてます。


本書では明治元年生まれの夏目漱石と同年代のドイツの社会学者マックス・ウェーバーの二人を引用して近代化過程の日独の知識人に共通した「近代人の運命」を語らせています。

夏目漱石は文明開化と富国強兵が進むに連れて、人間が救い難く孤立してゆくことをしめしました。

ウェーバーは西洋近代文明の根本原理を「合理化」において、人間社会が解体され、個人がむき出しになって、価値観や知性が分化してゆく過程を明らかにしたといわれています。

彼らの生きた社会は遅ればせの帝国主義でした。
国家のため人間が消耗品にされた時代であった。
あまりの激しさに社会と適応できず心の病が流行した。
漱石とウェーバーは個人の時代の始まりの時、時代に乗りながら流されず、それぞれの悩む力を振り絞って近代という時代が提出した問題に向き合った。

このような状況はグローバリズム経済と新自由主義の格差拡大の今の世の中での閉塞感に悩む若者に似ています。

生きていく為に必要な「悩み」は聞こえは悪いかもしれませんが、決して後ろ向きではなく前向きなことで、悩んでいくことを強みにし社会に貢献していきたいです。