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昨年に続いて、お取引先様より伊集院静作「大人の流儀7」を頂戴し拝読しました。

副題は「さよならの力」。

著者は、“さよなら”を“別離”と表現していて、別離は言葉では表現しようのないものであり、それは哀しみを与えるだけのものなのか…と問いかけます。そして、「さよならの力を信じている」という書き出しで始まります。

人生において別離は日常に必ず起きることであり、とても辛くて人に話せないほどの哀しみを抱えている方もいらっしゃると思います。

私の人生で初めて“別離”を体験したのは、小学校5年の3学期のとき、祖母の死でした。(私はばあちゃんが好きでした。)
祖母は小学校のグランドを挟んで向かい側に別居しており、その日も自宅で夕食を一緒にしていつものようにグランドの真ん中をトコトコ歩いて帰るのを見送りました。
翌日、一人で朝風呂に入っているときに心筋梗塞になり、そのまま午前10時には息をひきとりました。そのときは死の意味が分からず、夕食を食べてグランドを歩いて帰る日常が当然にあるもので、なぜそれがなくなるのか理解できませんでした。
葬儀が終わり日常の生活になり、今までいた人がいなくなること、人生には終わりがあることを体験しました。

大人になってからは、姪が脳の病気で亡くなるという別離がありました。
高校2年のときに脳の病気で倒れ入院生活が続き、21歳の若さで逝きました。
若い者の死の無念さ、悔しさを体験しました。
生きた証を残してあげたいという思いから、私の2児の娘に、姪の名前の一文字をもらいました。

この本を読んで、日常では意識しない別離を思い返し、そのときの感情がはっきりとよみがえりました。 それは、私の人生において確かに生きる力になっています。

さよならの力を知っている方は、周囲にはそのことを語っていないだけだと思います。
この本では、それは日常のふとしたときに思い返し、前にすすむ勇気を与えてくれるもの、そういう捉え方を学ばせてもらった貴重なものとなりました。

いつも素敵な書籍を頂戴し本当にありがとうございます。
いろんな気づきを見つけています。