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2020年9月25日金曜日、大名1丁目の新築商業ビルの竣工式が行われました。
それはクライアントの住友商事商業施設事業部の福岡都心型ビル開発の2棟目となるビルです。

2016年3月、ある不動産会社から「内密だが大名で売却しようとしている開発用地向けの物件がある」という情報の持ち込みがありました。最初はテナントリーシングをやっている当社に賃料の相場を尋ねてきただけでしたが、私はすでに取引のあった住友商事に福岡の都心型商業ビルの開発地として持ち込みたいとその不動産会社にお願いしました。
住友商事は2015年から福岡への投資を始めており、よりプライムな立地に2棟目となる案件を探しているさなかでした。

その物件は地元名士の方の保有資産であり、大手ファンドや不動産会社の担当者と行う折衝とはまったく違う独特の緊張感のある交渉でした。既存テナントの契約は、大手ラーメンチェーンの基幹店と東証一部上場のカラオケ店の二つの定期借家…
住友商事は定期借家の残り期間3年経過後にテナントビルを開発する計画を組み立て本件投資を決定しました。
しかし、3年の残期間に住友商事が保有するリスクを回避するためには建物が法令順守されていなければなりません。すぐに大手設計会社によるデューデリジェンスが実施されることになりました。

建物はテナントの要望に沿って建てた一棟貸しで長年に渡り大きな改装を繰り返していたため、その調査の結果は重大な建築基準法の法令違反が発覚しました。住友商事の方針が決まりアグレッシブな金額を提示して意気揚々とプロジェクトの成功の絵を描き始めた矢先に…目の前から光が消えました。

しかし、厳しいビジネスの世界で実績を残してこられた賢者はそのようなことに動じません..その物件の売主と住友商事のキーマンは重大な法令違反があることを意に介さず、ビジネスにトラブルがあることが当たり前...お二人ともそれを乗り越えて最後のゴールへの道筋をすでに見定めているような落ち着きでした。
それでも私にとってその取引の日々はジェットコースターに乗っているような感覚でした。
…稚拙な表現ですが、本当です。

今思うと私の不動産人生において最も刺激的な時間であり、この案件に取り組んだことは私の仕事観を変えました。 
このディールの成功は、売主と買主である住友商事のキーマンのお二人が出会い、強固な意志の強さとビジネスの信念が導いた結果です。
あれから約5年... ビルの設計からテナントリーシング、さらには不動産運営管理に至るまで携わらせていただいていることは大変光栄なことです。
やはり、仕事はハードな経験をすることで磨かれていくことは間違いありません。
私はさらにこれからもハードルの高い仕事に取組み、賢者になりたいと思っています。
M.G(足長泥酔チャラリーマン↑)


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